テレビが見られなくなる問題

夢のようなニッポンの日々からスペインに戻った私たちを
驚くべきことが、待ち構かまえていた。
「12月31日までにテレビを『レシントニサール』しないと、もう見られなくなる!」
というのである。
この「レシントニサール」って、いわゆる「入力設定する」みたいな意味なので
技術的に、具体的に何をすればいいのか、私たちにはまるで見当もつかない。

「いったい、どうしたら・・・」
とあわてふためいている間に、昨日いきなりテレビが、真っ黒になった。
「ああっ、来たかー」
文明の闇、とはこのこと。
世界で何が起こっているか、何もわからない。
ま、世界のニュースは、パソコンで見ているとは言え、テレビがまったく見られないのは困る。

しかし、サッピングしながらよくよく探してみると
まだかろうじて見られる番組があること判明。
マラガ周辺のローカルテレビとか、不思議な商品を売るお姉さんの番組とか。

この情けも12月31日までで、1月1日をもって、すべて終了となるらしい。
「秀夫さんがいたらなぁ」
べラは、私の叔父さんの名前をあげて、ため息をつく。
東芝に努める叔父は、べラの中では「電気機器のことなら何でもおまかせ!」
に見えるらしい。

だからと言って、テレビごときで叔父をスペインに連れてくるわけにもいかないので
ここはいつもどおり、自力で解決なのだ。

「で、どうするの?・・・」
スペインは今、クリスマスシーズンで町もテレビもにぎやかだと言うのに
うちはシーンとしたまま。
「ラジオを聴けばいいよね!」
べラがさっそくラジオをセット。それはいいが、ラジオは耳で聞くものなので
会話をすると、番組が聞こえなくなってしまう。
「しっ、何?今、聞こえなかったじゃん、もう」
などと、楽しい家族のだんらんとはほど遠い状態である。

「瞑想・・・しようか?」
ラジオも切られ、二人ですーすーと深呼吸を始める。
リビングのテーブルにろうそくを一つ置き、部屋の明かりを消す。
にぎやかなクリスマスとはほど遠いが
「ニッポンのお寺にいる修行僧みたい・・・」

そのべラの口調が、どことなくうれしそうだったので
今年だけでなく、もううちではテレビは見ないのかもしれないな、
と思った。

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「テレビが見られなくなる問題」への2件のフィードバック

  1. 代替案になるかどうかわからないけど、ちょっとした番組ならインターネットで見られるはずです。スペイン国営放送(http://www.rtve.es/)とか。それ以外のテレビ局も見られるようなので、検索してみるといいかも。

    問題はテレビを見てる時はパソコンが使えないことだな。

  2. なるほど~。その手がありましたか。
    いきなり、瞑想に行かなくても(笑)
    がんばってみます!

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