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登場人物

 

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登場人物

 

ベラ(バイオリニスト)

ウルグアイ生まれハンガリー人。ブラジル、チリ、アルゼンチンなどのオーケストラで演奏後スウェーデンを経てスペインへ。マラガオーケストラで演奏後引退し、自分の好きなハンガリー民謡(中央ヨーロッパのジプシー音楽)やタンゴを弾いて生活している。持っているのはバイオリンとボロボロの25年モノの中古車のみ。ももの恋人。

 

エルネスト(コントラバヒスト)

マラガ音楽学校出身のスペイン人コントラバヒスト。「先生」の辞令が降りるのを数年間、首を長くして待っている。JAZZを愛し、金曜の夜になるとそこいらのクラブで行われるジャムセッションにいそいそと出かけていく。気が優しくどんな仕事でも文句を言わないのでひっぱりだこ。

 

 

ゲサ(チェリスト)

国際コンクール第2位という輝かしい経歴を持つ。マラガオーケストラではソリスタとして活躍したチェリスト。引退後は大好きなチャイコフスキーやバッハ、ブラームスなどを小規模のコンサートホールで演奏している。温厚で控えめな性格。ボーっとして外見が災いして演奏予定のホテルに入れてもらえなかったという事件も起きた。

 

リト(ギタリスト)

マラガで有名な「リト・ブルース・バンド」のリーダー。演奏前に軽く一杯二杯やると指の滑りが良くなる。ノッてくると周りを一切忘れ自分の世界に没頭し、かつてアドリブを30分弾き続けたことがあった。控えめな性格と抜群の音楽センスでファン多し。ケータイどころか電話も無いので連絡を取るのに友人を介してコンタクトが必須。

 

チュッピー(オウム)

アルゼンチン・ウルグアイに生息する黄緑色のオウム。体長15~20cmという体なのに壁を突き破るかと思える声量が特徴。いったん慣れると肩はもちろん外に出しても逃げないのでペットとして人気が高い。あまりのうるささに鳥かごから放してやったものが大繁殖し現在スペイン各地で「鳥害」を引き起こしている。

 

ギジェルモ(コピー屋の主人)

モロッコ生まれのスペイン人。エル・パロ地区では老舗のコピー屋の主人。縮小拡大もままならなかった当時のエル・パロで抜きん出た高度な技術で顧客を圧倒。笑顔はめったに見せないが、できあがりに命をかける職人肌のおやっさん。ももが「楽譜だ、チラシだ」と姿を見せるたび「あーッ、またもも!?もうかんないよ」とこぼしつつ、結局は真剣に手伝ってしまう人の良さ。

 

ステファニア(何でも屋)

掃除、縫い物、留守番…何でもござれのステファニア姉さん。家族を事故で亡くし一人ウクライナからやってきた。ちゃきちゃきした性格で前向きを絵にしたような人。一ヶ月間チュッピーの“飼育係”をお願いし、戻ったらテラス中、ゴムの木やサボテンでいっぱいになっていた。気は強いが涙もろい人情派。

 

トニー(録音技師)

録音スタジオの社長、兼技師。元ミュージシャン。物腰は穏やかだが仕事の早さ、的確さ、耳の良さには定評があり、マラガ中のミュージシャンの尊敬を集めている。デモCD作りの際、前代未聞の「一回弾き一回録り」を快く承知し、超特急で音源チェックを行ってくれた。マラガのポ・ポブレ音楽屋の縁の下の力持ち的存在。

 

ロベルト(ベラの友人)

コルドバ県でイベント関係の仕事をしていたが引退後ベラの友人となった。とんでもない仕事ばかり振ってきたが「過ぎれば何事もよき思い出」(って・・・自分で言うな)。ベラのボロボロルノーがぶっ壊れるたび一目散に飛んできてくれ自分のボロボロフィアットを貸してくれる心意気は評価したい。アルゼンチン人。

 

マルタとマヌエル(タンゴダンサー)

タンゴダンサーの夫婦。週4回タンゴダンス教室を主宰していて、いつ見ても二人は汗びっしょり。ももとベラも2ヶ月ほどレッスンを受けなんとか音楽に併せて踊れる初心者ステップクラスをマスター。タンゴ祭や劇場で数回共演したウルグアイ人カップル。

 

 

カルロス(歌手)

アルゼンチン民謡とタンゴを専門とするアルゼンチン人歌手。この道30年のベテラン。普段は内気で恥ずかしがりやなくせに舞台に上がると会場を揺るがせる声量とエネルギーで客席を圧倒。舞台の上と下でこんなに人格が変わる人も珍しい。歌手で食えない時はアルバイトで「レモン拾い」などをしていた。

 

ジョランダ(シンガーソングライター)

いつでもギター片手に歌うシンガーソングライター。一度だけマラガのC劇場で共演した。その前は何と女子サッカー選手だったというびっくり転職組。スカートの裾から見え隠れする筋肉隆々の太腿とふくらはぎがまぶしく、ミュージシャンらしくなくて良い。結局、歌では食っていけないのでマドリッドへ仕事を探しに行ってしまった。

 

ドリーアントニオ(お隣さん)

マンションのお隣さん夫妻。いつも野菜を差し入れてくれたり、荷物を預ってくれたり、何やかんやと世話を焼いてくれる。ベラのボロボロルノーがいよいよ動かなくなり「これからはどうやって仕事に行こうか…」と途方に暮れていた時、車を売ってくれた奇特な方だ。それも格安の分割で。

 

カルロス(銀行員)

「身ぐるみ剥がされて一文無し」になったももをなぐさめ、昼ご飯も食べず警察に盗難届けを出しに連れて行ってくれたエル・パロU銀行の職員。「困ったことがあったら言って!」と自宅の電話番号まで渡してくれた心優しいマラゲーニョ。その後、銀行へ顔を出すたび親指をたて「トド・ビエン(うまくいってるかい)?」と訊ねてくれた。

 

ソニア(ナイトクラブ歌手)

ショートカットがセクシーな歌手。平日は「掃除婦」として働き週末の夜になると美しく変身して出かけていく。帰ってくるのはいつも夜中の3時4時。ピアニストの彼ができ幸せ一杯でももたちとの共同マンションを出て行った。その後しばらく一緒に音楽活動をしていたらしいが数年前より音沙汰なし。今どこに…。

 

レイナ(画家)

大金持ちの息子だったが放蕩生活で身を持ち崩し、勘当同然で家を出る。パリで絵を勉強しスペインに戻った後は画家として生きることはや30年。色鮮やかなアクリル画を描く。「買いたい!」と請われても気に入らないと絵を売らない。お金の全てをお酒と絵の具に注ぐ。ケータイも車も持たない。子どものように澄んだ目が魅力的。

 

サンティ(詩人)

ウルグアイ人の詩人。バル(飲食店)を第二の家、オフィスとし、人生の皮肉や痛みを鋭いことばで表現しては毎日の珈琲や食事を稼ぎ出していた。胸が悪くいつも嫌な咳をしていたがある日を境にぱたりと姿を見せなくなった。いつも「病院では死なない。犬のように死にたい」といっていた。書き溜めた詩を靴箱に入れ輪ゴムで止めて持ち歩いていた姿が懐かしい。

 

フランクリン(舞台監督、俳優)

アルゼンチンのブエノスアイレスを中心に活動していたが現在は引退し、生まれ故郷のチリに在住。ももが「音楽屋になる!」と決めた時、舞台でタンゴを歌っていた。楽屋に押しかけたももに連絡先を教え、ブエノスアイレスの自宅まで押しかけた時も私たちを泊めてくれた。このことをマラガのアルゼンチン人に話したら、「えーっ、あの有名なフランクリンと知合いなの!?」とのけぞるように驚かれた。

 

トゥシー(ベラの妹)

4才違いのベラの妹。顔も体型もそっくり。さらにユーモアセンス抜群で取って置きのウルグアイのチステ(ジョーク、笑い話)を次から次へと披露。ももと共にウルグアイの一大祭「ジャマダス」にセクシーな衣装と羽をつけて参加することを計画中。名前だけを頼りに「まだ会ったことのない従兄弟」を探しにハンガリーへいく企画を立て、結局ベラとももを巻き込んで実行してしまったとんでもないエネルギーの持ち主。

 

ロベルト(トゥシーの旦那さん)

気の強いトゥシーとは対照的で温厚で涙もろい性格。サッカー狂でモンテビデオのサッカーチーム「ナシオナル」の応援に命をかける。トゥシーと共にマラガに遊びに来た時は毎日ふやけるまで幸せそうに地中海に浸かっていた。「海、好きなの~?」と尋ねたら「うん、泳げないけど」って、コワイ。深いとこ行かないでよ!ロベルト。

 

エテル

30年ぶりに再会を果たしたベラの友人。素直で可愛らしく直情型。マラガ人もびっくりの「大声族」。「感情をストレートに表現する」レベルが日本人の常識をはるかに超えていて、雄たけび、涙交じりの絶叫、かと思うと、うなだれたりと子どものような愛らしさと自然な笑顔が魅力。

 

 

アントニオ(自動車修理工)

スイスで修行した“凄腕”の持ち主だが数年前から家族と分かれ今のボヘミアン暮らしに。電話もケータイも郵便受けすら無いので、見つけるにはウロウロ探し回り“犬”のように見つけるしかない。一年中日焼けで真っ黒。仕事場は路上だ。

 

 

イサベル先生(ピアノの先生)

クラシックピアノの王道を行くロシア人の先生。厳しいレッスンに定評があり、音大生もめった切り。でも、レッスン後の「よくなってきたわね」の一言で体育会系のももはまたすぐにやる気になってしまうのだ。飴と鞭。鞭の方が多いけど。

 

 

ケン先生(音楽の先生)

音楽理論やハーモニーを中心に音楽教室を開いているオランダ人の先生。いつもエネルギッシュ、明快な説明とスピード感のある授業はマラガのプロミュージシャンの多くに愛されている。「質問があればその場で電話して!」と24時間体制で応対してくれるK先生のリビングはミュージシャン、音大生の“救急センター”“駆け込み寺”だ。

 

木田さん(タンゴの生き神様)

「タンゴは涙である」を地でいく日本タンゴ界の生き神様。東京でタンゴの“洗礼”をして頂いた。お土産にいただいた秘蔵タンゴビデオ2本はマラガ下町コミュニティで特別上映された。タンゴの本場アルゼンチン人やウルグアイ人も思わずうめき声を上げたビデオと木田さんのサイン入り本はコミュニティの“家宝”となっている。

 

柴宮さん(日本料理店のご主人)

群馬県在住。毎年もものために段ボール箱いっぱいの日本食材を送ってくれる。前向き貧乏(ポ・ポブレ)を支える縁の下の力持ち的存在。コミュニティの“非常食お届け人”としてあがめられている。柴宮さんの送ってくれる「だし」「味噌汁の素」「のり」「お茶」は音楽に変わっていくのだ。

 

高木先生(高校時代の恩師)

英語教師。掃除中に語る政治論の幅広い世界観にはもももすっかり傾倒。卒業後も定期的に連絡を取っていたももに会いに、ある日本当にスペインまで来てくれた。生涯現役で社会活動に身を投じた人生の恩師。

 

 

とくばあちゃん(ももの祖母)

岐阜在住。88才まで薪で火を焚いてお風呂に入っていて90才まで現役で働き、92才の今も裏山にこさえた畑で野菜を作り「100才になって新聞に載せてもらう」のを目標にしている。海外旅行経験は親戚中ダントツ1位。ももを初めて海外旅行に連れて行ってくれた。地元でも「世界旅行の人」と呼ばれる。83才の時にスペインまで会いに来てくれた。

 

ももの父

妻とそのお腹の中の子のために当時まだ高価だったレコードプレーヤー購入を決断した人。胎教の効能を妻と発見し、ジャンルを問わず日がな一日音楽を聞かせることに・・・。やがて、産まれた赤ちゃんの耳が大きく開かれているのにびっくり。29才で「ピアニストになる!」と言い出した娘を黙って笑顔で見送った勇気ある人。

 

ももの母

2才になったももにオルガン教室、3才でピアノレッスンを決断した人。以降12年間の「毎日レッスン」を叱咤激励で牽引した。現在ハーモニカクラブに所属して自らも音楽をたしなんでいる。かつてももに言い放っていた「あっ、そこ違うよ!」を娘に言われてしまう今日この頃。