夏時間の贈り物

昨夜から「夏時間」になり、家中の時計を「1時間」進ませた。それにより、スペインは夜9時近くまで明るくなる。何気なく「夜8時のテラスエール」に出て驚いた。

「お隣さんたちの顔がはっきりと見える!」

これは衝撃的だった。これまで薄暗い中で「人影」が、生存確認だった。それが1日を境にいきなり

「どんな人だったのか。顔や家族構成や表情まで」

はっきりとわかるのだ。別棟の人たちとはこれまで挨拶さえした事がない。みんな同じ思いだったのだろう。

「あぁ、こういう人だったんだ!毎日自分が心を寄せていたのは」

くらいの感動(笑)。あんまりうれしくてみんなとびきりの笑顔。右も左も、上も下もお互い手を振りあう。やっと「対面」できた喜びで、テラスが湧いた。

「夏時間が届けてくれた贈り物」

思いがけないサプライズ。お隣さんたちの顔が見えただけで、どうしてこんなに涙が出るほどうれしいんだろう。

「分かち合う歓び、心を通わせる歓び」

一瞬でも私たちは人生を、かけがえのない今日という日を分かち合う。その相手がたとえ名も知らない、話したこともない人だとしても。私たちはお互いを幸せにすることができる。

そんな時、スマホの着信音ピーンとなり、見れば日本から。

「Zoomを使って数人で、顔を見ながら話しませんか」

ズームとは。いったい何なのか。そんなこと私にできるのか。サプライズは続く。

(明日に続く)