仰天のプレゼント

クリスティーナの家に着くと、温かいランチと冷えたビールが待っていた。

「ちゃんと食べてる?温かいもの。いつも何かに夢中になって、途中で食べるのをやめたり、すっかり冷めた料理を食べてる」

何度もそれを目にした。とクリスティーナは私を叱った。何事もはっきりと口にする彼女は、私にとっては魅力的だが、合わない人は絶対にダメだろう。

「ももは、大きい絵を描かなきゃだめだよ」

今年に入り、クリスティーナは執拗に繰り返した。

「小さなキャンバスじゃ入りきらないよ。もものエネルギーは」

偶然その後に挑戦することになった「着物ペイント」は130×130センチ。体ごとぶつかるようにして描いたこの作品が「新もも誕生」とも言える大きなターニングポイントとなった。

タコスランチの後は、いよいよ誕生日プレゼントの贈呈式。なんとキッチン包丁を手渡され

「この箱、開けてみて」

ダンボール箱を包丁で開けると、さらに中から長細い箱が現れた。プレゼントはその中に眠っているのにちがいない。

「これって・・・」

思わず息を飲む。長細い箱の中から現れたのはなんと。ロールのキャンバス地。

「注文したんだよ。10メートルある」

「10メートル!」

しばし絶句。ゆっくりと床に広げてみる。おぉお。まるで絨毯のよう。ここ全てに描けるなんて夢のよう。

「これだけあれば、ずっと描けるよ」

驚きと感激でキャンバス地の隅にへたり込む私に、クリスティーナは言い放った。

「いや。ももなら、あっという間にこの10メートルはなくなる」

春までもたないよ。とウインクしながら笑った。

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