アブダラヒス村の展望台

【一日一作プロジェクト】緑の大地への祈りを込めてブローチアート「木の羽・樹楽玉(じゅらだま)」を作った。昨日の続き。ランチの後は山間地帯をドライブ。

「こんなへんぴな所に村があるよ」「行ってみよう!」

看板に従って、山道を進む。「Valle de Abdalajis(バジェ・デ・アブダラヒス村)」幹線道路から外れているので、秘境感がすごい。

「アラビア語っぽい響きだよねぇ」

アンダルシア地方には、かつてイスラム教徒によってつけられた地名が、今もこうしてあちこちに残っている。山にへばりつくように広がる村。アブダラヒス。

車をとめて歩き出すと、かわいらしい白いアーチを発見。その向こうに、ずっと階段が続いている。ピンクのブーゲンビリアが白壁に映える。ぼんやり眺めていると

「展望台へ続いてるのよ。あっという間だから登ってらっしゃい」

村のセニョーラが、声をかけてくれる。軽い気持ちで登り始め、あまりの急坂にすぐに息が上がる。

「何これ?さっきの『自然遊歩道』よりキツイじゃん」

数回休みながら、なんとか展望台へとたどり着く。絶景!村全体が一望。喜んで写真を撮っていると、ハビ吉がぽつりと呟く。

「もも、ここはまだ中間地点だよ。ほら、あそこに・・・」

ハビ吉が指差した先を見ると、なんと。超急勾配の階段が、さらに山頂へと続いているのだった。手すりにつかまって登る式のスリル満点系。風はどんどん強くなる。

「びゅうぅうーーーーーっ」

ものすごい音。山頂をめざす私たちに容赦なく襲いかかる。立っているのもやっと。手すりにしがみつきながらよじ登り、ついに山頂の展望台へ。

「うわぁあーーー絶景!でも風に吹き飛ばされそうーーー」

スマホなんて飛んでいきそうな勢い。撮影はハビ吉にお任せし、村の全景を心ゆくまで眺める。美しいアブダラヒス。視界の果てまで広がるオリーブ畑。

「ごごごごごーーーーーっ」

にしても、風の音がハンパない。髪の毛なんてめちゃくちゃ。ハビ吉はいいなぁ、髪の毛なくて。その時になって、はっと思い出す。昨日、友人のCさんからもらったメッセージ。

「興奮して歩道から落ちないように」「ハビ君と仲良くね」

あれは『自然遊歩道』のことではなく、この山頂『歩道』のことだったのかも。年下ながらしっかり者のCさんは自ら

「まるで子を遠足に送り出す母のよう」

と、メッセージをしめていた(笑)心配かけます。さて帰り道。登りより、下りの方がはるかに怖い。階段のずっと後方に、村が広がって見える。

「このまま村まで転がっていきそう」

「スマホをしまえ」「手すりにつかまれ」「下を見るな」

容赦なくハビ吉の指示が飛ぶ。明日はきっと筋肉痛だろう。バルでアイスティを飲みながら一休み。20年以上も住みながら、訪れたことのない村が、まだマラガ県には沢山ある。

「帰りは、景色のいい山間道を通って行こう」

ハビ吉の提案で「エル・チョーロ」へと向かう。初めて通る道は、いつも発見と興奮に満ちている。空には、翼を広げ風に乗るタカの勇姿が。

「30分の道のりで、出会った車は一台」

秘境感あふれる山間ルート。やがて、突然下り坂が始まる。どんどん下る。いくつ目かのカーブを曲がった時、私たちの目の前に突然「エル・チョーロ」の絶景が現れた。(明日に続く)

【お知らせ】山頂の展望台で強風に吹かれている動画(ものすごい風の音)が、Facebookでご覧いただけます。お時間のある方はぜひどうぞ!