猫バルとサンドイッチ

【一日一作プロジェクト】ブローチアート「水の羽・滴り玉(したたりだま)」を作った。昨日の続き。冷たいビールめざして、さらに山奥へ。青緑色に輝く湖を眺めながら車は走る。

「もも、あそこだよ!バル」「どこ?はぁあっ?あれ閉まってない?」

店というより、民家。どこが入口なのか。それさえもわからない。白壁につる草が生い茂り、茶色の猫がこちらをじっと見つめている。

「きっとあそこが入口なんだよ」

近づいて行くと、まさにその通り。猫がこのお店の案内役らしい。テラスにテーブルがいくつか並ぶだけの、誰かの家に遊びに来たような素朴なバル。

「かわいい〜」

すっかりリラックスし、ビールをじっくりと味わう。緑に囲まれるって、なんてすばらしいんだろう。3ヶ月半に渡る外出禁止令の間

「緑のある所へ行きたい!マスクなしで深呼吸したい」

と、ずっと願っていた。その思いがこうしてかなったのだ。長い長い4ヶ月。こんな日が来るなんて、想像もできなかった。ほっとしたら、急にお腹が空いてきた。

「ランチ食べるお店を探そうよ」「僕、サンドイッチを作ってきたよ、2人分」「ええっ」

なんと。私はポテトチップスしか持ってこなかった(汗)。眺めのいい場所を探して車を停める。本当に人っ子一人いない。シーンとしている。

山々に囲まれ、青緑色の湖を見ながら食べるハビ吉のサンドイッチは、涙が出るくらいおいしかった。どんな高級店のランチより。わざわざ朝起きて作ってくれたんだなぁ。

「コロナの影響でお店が閉まってたら困ると思って」

なるほど。私は何も考えていなかった。むんずとパンの包みに手を伸ばしたら

「ハムとアボカドとツナのサンドイッチ。一人一つずつね」

同じ物を2つ食べるな、という指示が飛ぶ。そんなこと、すると思う?私(←しそう)。穏やかだった風が、だんだん強風になってきた。

「びゅうううーーーっ」

と音を立てて吹き抜ける。おかげで髪の毛はもうめちゃくちゃ(写真)やはり「強風警報」は本当だったのだ。

「ドライブして、この辺りの村を訪れてみようか」「行きたーーーい!山間の村」

この時、私たちはまだ知らなかった。初めて訪れる山峡の村。その「展望台」が、山のてっぺんにあることを。心臓をバクバク言わせながら登り、強風に吹き飛ばされそうになることを。

最初の「自然遊歩道」など、ウォーミングアップに過ぎなかったのだ。アンダルシアの村を甘く見てはいけない。サプライズはまだまだ続く。(明日に続く)