百夜(ももや)ピアノ

【一日一作プロジェクト】布&ひもで「百夜(ももや)ピアノ」を作った。先日紹介した「百夢(ももゆめ)ピアノ」とファミリー。さて。なぜか毎年恒例の

「トイレの水槽がぶっ壊れる」

問題。さっそく前回直してくれたアントニオに電話をすると、懐かしい大声が。

「おお〜元気だったかい?無事で本当によかったよ!家族のみんなは大丈夫?」

ひとしきり近況報告。それから改めて

「どうしたの?何か壊れた?」

玄関に現れたアントニオは、いつものようにランニング姿に温かい笑顔。もちろん、その半分はマスクで隠れていたけれど。

「もう古い物件だから、少しずつ壊れていくよ」

ひざまずいたり、覗き込んだり。アントニオの額からすぐ汗がにじみ出てくる。なんとなく息苦しそう。

「アントニオ!窓全開にしとくから、マスクなしで作業して。私は別の部屋にいるから」

肉体労働をマスクしてこの暑さで、クーラーなしでやるのは本当に大変。気持ち悪くなりそう。休憩タイムに冷たい缶ビールを差し入れる。

「僕ができる限りは直してあげるけど。そのためにも元気でいないとね!」

アントニオのおかげで、再び水は流れるようになった。ムーチャス・グラシアス!これで1週間以上続いた「一人バケツリレー」も終わり。

最近、うちのオウムはやたらと元気がいい。毎朝、鳥かごから出されると一目散に

「巣(IKEAの三段引き出し)」へと飛んで行き「公園(2段カゴ)」で遊び、午後からプール。そしてピアノ室で羽を乾かす。その写真を父に送ると

「プール付き、公園付き、ピアノ付き。上流階級だねぇ」

ほんとに。基本的に一日中「遊んで」いるのだ。その後を追い、掃除をして回る私。なぜ、皿の外で食べるのか。殻をテーブルの外に投げるのか。水入れをひっくり返すのか。夜の11時まで鳥かごに入ろうとしないのか。

その「なぜ」に答えは、ない。

答えがない時、私は全て「個性」「仕様」で片づけることにしている。あらゆる人間関係も。そういう仕様なのだ。自分とは違う。だから考えてもムダ。

「百夜(ももや)ピアノ」

いくつもの眠れない夜を、音楽は添い寝してくれた。4年前、音楽屋を卒業し、ピアノから自分を解放したら、アートという翼が届けられた。今は音楽への思いを、形にしている。