キャンバスからカートンへ

コラージュパーツが置かれた「台紙」の白いキャンバス地。これを今さらだが、取り除くことにした。理由は1つ。

「バックが白だと、コラージュのパーツが浮かび上がらない」

これは致命的。なのだった。バックの白にコラージュのパーツが、完全に溶け込んでしまっている。これではただの

「白いキャンバス地にペイントした青い絵」

になってしまう。それでは意味がないのだ。だったら、最初から直接ペイントすればいい。コラージュの立体感や躍動感を出すためには、別のバック(台紙)が必要だ。

「ええい、抜き取ってしまえ」

書くと簡単だが、とんでもない作業が私を待っていた。台紙を動かせば当然、上に乗っているパーツも動く。しゃがみ込み、やっとのことでキャンバス地を引きずり出す。

それから改めて、パーツを一つ一つ再配置。テーブルの上で作業をするのと違い「踏み台昇降」運動で、全体のバランスを確認。さらに。

「どうやって2メートルのキャンバス地を1人で壁に吊るすのか」

両手で持ち上げながら、折らないように、バランスよく配置する。そこまではいい。が、それを「巨大クリップで止める」のは

「いったいどの手でやるのだろう?」

オウムの手も借りたい心境。なんとか二本の腕でやりきったが、しばらく放心状態。作品が大きいと、制作作業も全身運動。マテ茶を飲みながら一休み。

「明日、起きたら筋肉痛になっていそう」

その予感は的中するのだが「明日」ではなく「その夜」。そして「筋肉痛」ではなく「こむら返り」だった。そして。いよいよ後半のスタート。

「白いキャンバス地の代わりに、茶色いカートン紙を敷きつめる!」

バックが茶色になった瞬間、おぉお〜。一瞬で、全てが変わった。くっきり鮮やかに、パーツが浮かび上がる。青と白が生きる。作品に立体感と躍動感が出た。

「うわぁ〜、どこまで行くんだろう」

この先に、何があるのかわからない。でも「思いを形にしたい」という抑えがたい衝動、情熱が、今日も私を「全身運動」に駆り立てている。