神秘の体験

神秘の体験。をした。我が肉体において。こんなことは久しぶりだ。足から尻、腰、背中へ上昇した痛みは、ついに「背中の一点」へとしぼられた。

「じーーーーんっ」

とそこだけが、強烈なコリの固まりとなって圧迫する。ストレッチをしながらほぐす。家の掃除をしながらほぐす。

「アトリエの準備しながら、ほぐす」

何でもいいのだ。ゆっくり動けてストレッチになれば。上半身がギシギシいっている。

明日はいよいよ食料品の買い出しと銀行へ行かねばならない。ウォーミングアップもかねて、かなり今日は動いた。家の中でだけど。そして夕方。

「ややや!これはいったい」

背中のコリの一点が、いきなり熱を放ち始めたのだ。まるでホカロンを当てているかのように、そこだけはっきりと熱い。しばらくすると、熱が背中全体へ広がり始めた。

「かちかち山じゃ〜」

いったいどうなってしまうのか。背中全体が燃えている。さすがに恐ろしくなり、友人たちに意見を求めてメッセージすると・・・

「何っ、数日前からそんな事になりながら、電話の一本もなかったの?私には」

と、いきなり方向性が変わってしまった。いかん。他の友人たちからも

「また自力で治そうとしてるんでしょ。早く病院へ行きなさい」

「まさか踊ってるんじゃないでしょうね」

どれもこれも、私の生活指導的コメントばかり。今まさに私の体に起こっている

「背中が燃えている問題」

は、どうなったのだ。結局その一時間後、問題は意外な形で解決された。背中の熱がぴたりと止んだかと思うと、体から全ての痛みが消え去っていたのだ。

「なんという!これぞ肉体の神秘」

思うに「体の歪みを調整する最後のポイント」が、背中の一点だったのではないか。足から始まった「歪み調整」は尻、腰、背中へ上昇し、最後の調整にのぞんでいた。

「歪み」が取れ「滞り」が解決し、一気に血流がよくなった。その現象だったのでは。この神秘体験は。そんな気がしてならない。

今日のクルーズ船は、ぶ厚い雲の下。マラガ港を出て、次はどの街へ向かうのだろう。