アウトレットの城「La Roca Village」

昨日の続き。ルイス一家は、バルセロナの郊外に住んでいる。ので、二日目はマリに車で、「巨大ショッピングセンター」に連れ出してもらえることになった。

それがどうも「アウトレットの城」。らしく、大型バスで大量の観光客が毎日運ばれて来る場所。なのらしい。それくらい巨大で、きれいに整えられていて
「ちょっとした公園みたい!」
と、マリは言うのであった。

もちろん買い物に興味のないルイスは、犬ちゃんと家でお留守番。ついでに「ルイスの誕生日プレゼントも買っちゃいましょう!」というわけ。

で、行ってみたら、これがすごい。「La Roca Village」といい、ものすごく大きい。公園というより、ちょっとした「村」。まぁ。ビレッジですからね(笑)。

今日の写真はすべて「La Roca Village」敷地内。お店はもちろん、カフェテリア、花壇、噴水、アート作品など、あちこちに置かれていて、歩くのが楽しい~。

乗ったり触ったりできるアート作品は、それだけですばらしい。いいなぁ。やってみたい。どうやって。は、また考えよう。

「遊べるアートやってみたい!ライブで体験できるアート!」
興奮さめやらぬ私を、ニヤニヤしながら見つめるマリ。
「そう言うと思った。だから連れて来たんだもん。去年より元気になったね。本当によかった」

マリは、私の大好きな「desigual」のお店に入って行った。写真四枚目をご覧ください。手前右にある「緑&ピンク」の服。
「これ、試着してみて!絶対ももに似合うから、ねっ」
「・・・・」

買う予定もなかったのに、試着。で、鏡を見てびっくり。
「すてき・・・それによく似合ってる!」
二人で大笑い。マリがあっという間にお会計をして
「はい、プレゼント」
「えっ?」
「バルセロナまで来てくれたし、ルイスはとても楽しみにしていたの。ももが来てくれるの。こうして毎日笑っているルイスを見るのは久しぶりよ」

私は、急に瞳の奥が熱くなった。そうだった。ベラの時。だんだん笑わなくなっていくベラを見ているのが、つらかった。胸が押しつぶされるような、引き裂かれるような感覚が、不意によみがえった。

「笑っていられる」
それは、なんという宝物なのだろう。そして、笑い合える喜び。私は、大切に服を受け取った。そして今、私にできることがあることを、はっきりと知った。

家に帰ると、ルイスは本を読んでいた(八枚目)。私は決めた。この四日間でできる限りの
「笑っているルイス一家の写真を撮ろう!」

ルイスの大好きなウイスキーで乾杯(九枚目)。明日はいよいよ「ウルグアイ風バーベキューランチ」。家族が勢ぞろいしての、ルイスの82歳のお誕生日会だ。

「べラも、煙を見てきっと来てくれるね」
「肉の匂いで、駆けつけてくるな」
私たちは、笑った。楽しいから、でなく、愛しているから。だから、笑うのだ。その人を想って。分かち合った時間、思い出に。

二年前、べラと私はルイスの誕生日のために演奏した。その写真を撮ってくれたのは、ルイス。そしてそれが、私たちの最後の「ドゥオ演奏写真」となった。

(明日に続く)