油絵の提出期限前夜

マラガ市の主催する「油絵教室」に、今年の二月から週一で通っている。その「コース終了記念」となる「展示会」が、迫って来た。というか、実はもう、昨日から始まっている。

マラガのセントロを貫く大通り「Paseo del Parque」にて、開催中!お時間がある方はぜひ、散歩がてらどうぞ。油絵だけでなく、パステル、カーボンペンシルを始め、いろいろな作品が掲げられています。

さて、油絵の提出期限は、実は先週。だったのだが、バルセロナへ行っており、帰ってきたらピアノ教室が大忙しで、とても油絵を描いている暇はなし。

さらに、週末は「サルサ教室」の「今期終了お疲れ様ランチ会」。で、食べ始めたのが午後二時で、踊り終わったのが午後七時。帰ってから描くはずがもうへとへと。

で、日曜日に、どうしても描かなくてはならなくなった。なにしろ提出期限は月曜日。出だしは好調。音楽などかけながら、マテ茶を片手に筆も進む。が、ここで、大変なことに気づいた。

まったく、当たり前のことでなのだが、その「一番大切なこと」を、すっかり忘れていたのだ。それは・・・
「油絵は、乾くのが遅い」
ということ。基本的にアクリル絵の具やオイルパステルを使って描いていたので、すっかりこの「常識」を忘れていた。

「うーむ・・・どうしよう」
乾かないと、次の色が載せられない。乾かないうちに色を混ぜる部分もあるにはあるが、アクリルとちがい、二、三時間では乾いてくれない。仕方ないので薄塗りをし
「夜を待とう!」

で、再び描き始めたのが午後七時。その時、アイフォーンがピン!と鳴り、吹き出しが尋ねてきた。
「今夜、一緒に夕食どう?」
見れば、ハビ吉。描きかけの写真を送りつけ
「明日が提出期限。外出不可能・・・何時に眠れるかも不明」
と、コメントを書き添えて送り返した。

再び、ピン!とアイフォーンが鳴り、見れば夜の十時。
「もう、描き終わった?」
終わるはずがない。
「明日、無事提出できたらランチしよ!ごちそうするから」

結局、夜中の二時半まで描き続け、どうしても乾かないと続けられないので、寝ることにした。翌朝は七時に起きて、半乾きながら、完成をめざして最後の描きこみ。
「できた!」

あわてて、梱包しようとして、再び呆然。そう、絵の具が乾いていないので「包めない」のである。
「あーあーあー」
しかし、時間は迫って来る。考える時間が十分しかないので、とりあえず
乾いている部分にクッションを入れ、空間を持たせてダンボールで梱包。あわててバスに乗る。

「先生~、待ってくださーい!すみませーん」
展示会の会場にたどり着いたら、先生および仲間のみなさんは、これから会場に鍵を閉めて立ち去るところ。
「あれまぁ」
と、先生は息をきらして駆け寄る私を、笑顔で迎えてくれた。
「できた?」
「それが・・・」

説明するしかなかろう。油絵を提出期限の前日、および当日の朝に描く。そんな大ばか者が、どこにいよう。しかし、ここはマラガ。先生は
「展示会までに、きっと乾くよ!後は任せて」
と、生乾きの絵を、笑顔で受け取ってくださった(涙)。

その足で、ハビ吉と合流。私の顔を見るなり
「寝てないんだね・・・」
「そんなに、ぼろぼろ?」
「絵のために四時間睡眠。って、なかなかできないよ」

ハビ吉だって。吐く私を介抱して四時間睡眠。それだって、なかなかできないよ。と心の中でつぶやいた。昨夜から、まともに食べてなかったので、ランチのおいしいこと。テラス席で春の風に吹かれながら・・・昨日から今朝にかけての修羅場が、うそのよう。あれは、夢ではなかったのか。

本当は写真付きで紹介したいのですが、あまりに必死でそれどころじゃなく・・・。近日中に「展示会のレポート」をかねて、改めて紹介させていただきます。

せっかくなので、マラガ・セントロの裏通りのメゾンの写真をアップします。最近、白ワインに目ざめ、スペイン滞在二十年目にして初めて、しっかりと白ワインを飲み始めてます。何事も遅い。のが、私のとりえ(笑)。

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