冬のモロッコ陸影とイチゴ

冬になると、マラガから「モロッコの陸影」を見ることができる。とはいえ、水平線上に「ぽつっ」と浮かび上がるだけ。それも「澄んだ日の、風のない日の入前だけ」に見られる現象(写真一枚目)。

写真を撮りましたが、水平線上に「ぽちっ」とした影が見えるだけですね。すみません。このぽちっ、が、モロッコ。アフリカ大陸。オーレ!肉眼だとはっきり見えるのですが。遠くにあるものが屈折して近くに見える現象。なのらしい。

この陸影が、ここめっきり姿を現さなくなったので
「あぁ、春なのだなぁ」
としみじみ思う。「また来年まで見られないのだなぁ」というこの季節感、しみじみ感は、マラガに暮らしているとよく、ある。

たとえば「イチゴ」(写真二枚目)。これが現れるのは一月。それも、揃いも揃って、ある日を境にいっせいに八百屋にイチゴが並ぶので、「アユ解禁」の風情。
「イチゴ、入りました!」
「よっしゃ、今年も来たか」
的、センセーショナルな季節感。

で、いきなり、姿を消すのだ、これが(笑)。マラガでは基本的に果物&野菜は「旬」にしか食べられないので、値段も旬の時が一番安く、この時に続けて必死に食べなくてはならない。
「一斉に出て、一瞬に消える」
ので、うかうかしていると
「あ、チリモジャ、食べ忘れた!」
などと、もだえながら来年を待つことになる。

ちなみに、八百屋のおじさんの写真(三枚目)。
「撮ってもいいですか?」
と、野菜を指さして聞いたのに、ちゃんとポーズをとってくれた(笑)。この辺りがマラガ。写真、と聞くと八割強はすぐさまポーズを取ってくれる。たとえ、物やお店を指さしていても!

今年は暖冬。今週に入りマラガは連日、10~22度が続いている。十年に一度の衣類大整理も無事、終了。すっきり。ピアニスト時代の「演奏服」も処理し、思いがけず出て来た「浴衣」を、この春、着てみたいと思っている(夏は暑くてとても着られないので)。しかし、帯。どうやるんだったっけ。