2.湿気問題

昨日の続き。

豊橋の我が家へ無事、到着。
やれやれ。思わずため息。
体に巻きつけた「作品群」から、やっと解放される。

鏡に映った自分の姿は、かなりくたびれていた。
が、勇ましさも若干、漂ってはいた。落ち武者的な。
バッグは肩に「斜め掛けダブル」。
「長筒を背負い」
開いた手には「スーツケース20キロ」。
まるで武者修行である。
額から滝のようにしたたらせながら
「もうこんなに描くのはやめよう」
と、真剣に思った。

お刺身も天ぷらもぺろりと平らげたが
あまりの暑さ、いや湿気のせいで
どうにも頭がぼんやりしている。
自分で言うのも何だが
リアクションが非常に、遅い。

気持ち的には、日本帰国でうれしいのだが
頭が「金魚鉢の中にいる」感覚なのである。
「長旅、お疲れさん」
と、父はねぎらってくれるが
これはけして「時差」のせいではない。
「湿度」である。
この際はっきりさせておきたい。

「湿度」ごときで、このブログのスペースおよび
読んで下さるみなさんの時間を頂戴するのも恐縮なのだが
これは今回のニッポン滞在の大切なポイントなので
ぜひ行を割かせていただきたい。

マラガは今(これを書いているリアルタイム)
気温36度、湿度25%である。
そう、テラル真っ最中!それも3日連続。
これはどういうことかと言うと
汗は瞬間乾燥。肌はカラカラに乾ききって紙のよう。
シャワーを浴びても、5分で完全乾燥。
だから体を拭く必要は、ない。
床に落ちた水だって、すぐに蒸発。
濡れた髪もしかり。こちらは15分ほど。
という「砂漠状態」を、意味する。

それで今、どうやって
この暑さ&乾燥に耐えているかというと
「洗い髪はそのままで」
「綿のランニングをびっしょりと濡らし」
「それを絞らず身に着け」
「扇風機をかけて」
ブログを書いているのである。

ちなみにこの「涼」の取り方は原始的ではあるが
乾燥した気候の中では非常に効果がある。
ただこれを、ニッポンでやってはいけない。
水地獄になってしまう。

で、話を戻すと
「乾燥」にはエクスパートな私も
「湿気」の前には、完全な初心者。
自分の置かれた状況がわかっていないので
何をどうしたら涼しくなるのか
まるでわからないのである。

そうだ。
とりあえず、扇風機だ。
よろよろと扇風機に近づく。
が、ニッポンの扇風機は、やたらボタンが多い。
これはトイレもしかり、なのだが
慣れないボタン操作に時間がかかり
次第に意識が遠くなっていく。

きっと風の強さや種類など選べるよう配慮され
「賢く」できているのだろうが
この際「風の向きや強さ」などどうでもよく
「かかってくれ~」
と、うめきながらボタンを押しまくる。
やっと、動き出してくれた時には
すでに1リットルくらい汗をかいた後。

ニッポン上陸初日から、そんな具合だったので
「名古屋行き」を考えると、とたん不安になってきた。
「名古屋の湿気は、きっともっとすごいのにちがいない」

それも、この「作品群」を体に巻き付けて。
考えると気を失いそうになったので
「ビールを飲もう!」
と、気を取り直し、冷蔵庫を開ける。
が、父はビールを飲む生活をしていなかったので
冷たい飲み物は、牛乳とポン酢しかなかった。

(明日につづく)