テレビの大移動

ベラの目が悪くなり
「この夏、メガネを買い替えよう」
と二人で言っていたところへ
帯状疱疹が始まり
首の痛みどめ薬および通院で
メガネどころでは
なくなってしまった。

で、とりあえずの問題は
「テレビがぼやけて見えにくい」
であった。

確かにうちのテレビは
ちょっと遠い所に置いてある。
これもリビングを
演奏のリハーサルや
バイオリン教室などに
使っているからで
リビングの奥に
忘れられたように置かれたテレビを
夜、疲れた目で見ていると
私でもときどき俳優の顔が
誰だか見分けがつかない。
「あれは・・・ブルース・ウイリーかな」
みたいな。頭で。

さて、うちのテレビは
もらいものの中古の箱型テレビ。
掃除でちょっと動かすたびに
これが上に落ちてきたら
「一人では支えられないな」
と想像して、ぞくぞくっとする。

そのテレビを
動かすことにした。
今日。
ベラが友人宅に
お茶をごちそうになっている間に。
首が痛いので
友達は往復、車で送り迎えしてくれる
という。ありがたや。
これで安心。
これで一人。

べラがいない間に
テレビを動かさなくては。

ふだんベラの座っている
ソファにテレビを近づければ
とりあえず
「ゴールを決めたのは誰か」
くらいはわかるであろう。

これもみんな
ベラへの愛情から。
それをわかってくれるといいが。

恐る恐る、テレビを動かす。
息をとめて、1センチずつ。
途中2回くらい
テレビがふらふらと揺れ
鳥肌がぞぞっと立ったが
なんとか均衡を持ち直し
無事、移動に成功。

オウムまで
ただならぬ気配に硬直し
自分の鳥かごに
へばりついている。

もう汗、びっしょり。
とりあえずテレビは
ソファの正面から
3メートルほどになった。
やれやれ。

しかし
この「テレビの大移動」のせいで
リビングの配置のバランスがくずれ
私の作業台や植物など
いろいろなものを
動かさなくてはならなくなってしまった。

「ややっ、なんと言うことを
始めてしまったのだ・・・」
と一瞬、青くなったが
ま、これもすべて
ベラへの愛情から出たさび。
じゃなくて、何だっけ。
ま、わかってくれるにちがいない。

ベラはあと1時間で帰って来る。
テレビの大移動に
どんな反応を示すやら。
結果はまた・・・報告します。