ももに、チップをもらいなさい

先日、両親と国際電話をしていると、ベラが突然
「お皿、洗います!」
と、高らかに言い放った。
うちでは、お皿洗いはベラの仕事なので、そのことを訴えたかったらしい。

「ベラちゃん、おつかれさまねー」
母のねぎらいの言葉を聞くと
よほどうれしかったのであろう。さらに続けて
「おそうじ、します!」
それを聞いた母は
「ごめんねー、ももは掃除しないから」

「私だって、掃除するよー」
と、電話に割り込もうとすると、ベラは日本語ではっきりと言うのであった。
「ももは、おそうじ、しませんっ」

あまりのことに、言葉を失っていると
「そう、じゃぁ、ももにチップもらいなさい」
と、母が言う。
べラにそれを訳してやると、こともあろうに日本語で
「だめ、もも、お金がありません」

これには両親、大爆笑。
私はあまりの出来事に、その場で固まっていた。
まったく、どうしてこんなことに。
なぜ、こういう日本語だけ、上手になるのか。

納得できず、ぶぜんとしていると、ベラが横でモップを握りながら
「やっと、僕の苦労を分かち合える家族ができました」
「・・・・・・」
確かに、床のモップ掃除も、ベラがやってるけど。